02-法規の話

2012.06.06

名古屋市内で防火関係の建築基準法違反が判明 第三者建築士の現場チェックの不思議

国土交通省の報道発表資料(6月5日)によれば、 
名古屋市内の木造住宅においいて、防火関係の建築基準法違反が判明したとのことです。

報道発表資料の詳細はこちら

違反の概要については、ケンプラッツの記事に詳細が報道されていますが
要約すると・・・

①間仕切り壁の大臣認定仕様違反
建築物の壁や床には防火地域指定や規模や用途などで、細かく耐火に関する性能が要求されています。その要求を満足する仕様として、告示や個別に大臣が認定した工法を選択することができます。
今回は準耐火(45分)の性能を求められる間仕切り壁に対して、大臣認定を受けた工法で施工をする予定のところ、その仕様通りに施工されていないことが発覚して建築基準法違反となったようです。

②床の施工の告示違反
床に関しては告示にそった仕様で計画されていたようですが、一部仕様を満足しない部分があったようです。これは告示違反、施工瑕疵と言えそうです。

③軒裏の大臣認定仕様違反
間仕切り壁と同様で、大臣認定の仕様に違反している瑕疵があったようです。

②と③については、施工者の無知による結果と考えられなくもありません。
(工事監理者の責任ももちろんあります)
不思議なのはなぜこのようなマイナーな大臣認定を使用したか・・・

設計者の考えがよくわかりません。
そもそも、この大臣認定仕様では、間仕切り壁の構成は部材が多く、
(壁の下地に胴縁とよばれる部材を設置する必ようがあるようです)
コスト的にメリットがあると考えにくい。仕様の詳細はこちら

ケンプラッツの記事にも図解があります。

この大臣認定の仕様は、石膏ボードが12.5mmで準耐火の壁が構成できますが、
告示の仕様でも15㎜の石膏ボードであれば準耐火(45分)が満たされます。
両面で考えてもたった5mm壁が厚くなるだけだったのに・・・
(このほうが工事監理もしやすいはず)

マイナーな大臣認定を使用する場合は注意が必要ですね。
告示や大臣認定の選択も設計者の能力だと思います。

第三者建築士の現場チェックの不思議

今回の問題発覚は建て主の知り合いの建築士による第三者チェックがきっかけのようです。
私自身も第三者チェックや、裁判物件の調査鑑定もおこなっているので、
第三者チェックの意義は十分理解しています。また、今回の違法部分の発見は素晴らしいと考えます。
ただ不思議なのは、なぜ工事中に指摘して改善させなかったかということです。
違法部分は壁の中なので、工事施工中に発見していたと思いますが、
引き渡し後の指摘では、この物件に関して言えば被害が拡大してしまったのではないでしょうか?

他の物件への波及を考えての行動との推測もできますが、
そうであれば、他にも方法があったのでは・・・と考えてしまいます。
(繰り返し、今回の違反を発見した第三者の建築士には敬意を表します!)

最後に、このような事例はあとを絶ちませんが、
工事監理者の責任についても周知される必要があります。
工事監理者ってその業務そのものが一般には知られていませんが、
工事監理者の選任も建築主の義務なのです。

追記----
その後のケンプラッツの記事で、今回の第三者建築士によるチェックは竣工後であったとの報告がありました。
チェックをされた建築士の方に
敬意を表します。

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2011.08.10

隣地境界からは50cm以上の距離が必要?

隣地境界から、計画建物の離れの距離は50cm以上必要か?
これは建築基準法の規定ではなく、民法の規定になります。そのため、境界線からの距離について鈍感な建築士がたまにいます。この件のトラブルの相談はかなり多く、今回も相談がありましたので50cm以上の離れが必要な根拠を記載します。

基本的には50cm以上の距離を保持することが必要

民法の規定は国民どうしの関係を規定している「私法」です。
一方建築基準法は、国民と国との関係を規定している「公法」です。
したがって、民法の規定は確認申請の過程では審査機関のチェックはありません。
近隣住民に指摘され慌てて相談に来られるケースがほとんどです。

民法第234条
「建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない。」

民法第236条
「前二条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。」

民法236条があるから東京では50cm以下でも大丈夫と勝手な拡大解釈をされる方もいますが、基本は50cm以上の距離を置く必要があります。周囲の状況からみて、50cm以下でも大丈夫だろうと考える場合でも、隣地の同意を得ておくことが重要です。

例外は建築基準法第65条

50cm以下でも建築可能な場合の例外は、建築基準法第65条に該当した場合です。

建築基準法第65条
「防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。」

この条件に合えば、50cm以下の部分でも建築することは可能になります。
(最高裁平成元年9月19日判決により民法の特則であり優先されると判断されました)

近隣からの指摘を受けたら

状況を整理して真摯に対応するほかありません。
工事中であれば、設計変更も含めて対応可能か検討を行うことがよいでしょう。工事が進んでいる場合は、修正する場合のコスト等を考えて他の方法も検討します。建物が完成している場合は、損害賠償ということを検討しなければなりません。
また、近隣関係の処理になるので、当事者で話し合いをすることが重要です。こじれた場合は、早めに弁護士に相談する必要があります。建築士は非弁行為にあたるので代理人としての交渉を行うことはできません。

近隣との関係は建物完成後、何十年も続きます。まずは近隣との関係を重点に問題解決を図ることこが重要です。また、安易に50cm以下の離れで設計をする建築士は危険です。民法の規定を知らない可能性もあります。民法には、建築計画に関係する規定が40カ条ほどあります。これらも考慮して建築主が安心して生活ができる住空間を創造することが建築士に求められる専門性だと思います。

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2011.06.21

既存不適格建築物の増築

既存不適格建築物。一般の方がたにはなじみの無い名称ですが、建物を改修したり、増築する場合は重要な概念になります。では既存不適格建築物とはどういった建築物をいうのでしょうか。建築基準法にある次の条項から判断できます。

●建築基準法第3条2項 
法令等の施行や適用の際、現に存する建築物、工事中の建築物については適用しない。
●建築基準法第3条3項3号および4号
工事中の着手が法令等の施行や適用後である増築等は適用する。

つまり、法改正の時点において、すでに完成していた、または着工していた建築物は、現行法の規定が適用されませんが、違法建築とは呼ばず現行法規に不適格な建築物となります。そして、その建物を増築する場合は、改正後の法規が適用されますが、その際に、既存部分を既存不適格建築物と呼ぶことが一般的となっています。

既存不適格建築物を増築する場合、現行法規に適用させることが要求されていますが、(前述の建築基準法第3条3項3号4号)これがかなり大変なため、次に様な緩和規定が設けられています。

●建築基準法第86条の7 第1項
  一定の範囲内においての増築等
●建築基準法第86条の7 第2項
  独立部分が2以上あるものについての増築等
●建築基準法第86条の7 第3項
  一部の適用を受けない既存不適格建築物についての増築等

これらの緩和規定を利用して、耐震などの安全性を確保した上で、過度に既存部分に遡及が及ばない計画をすることがコスト管理上重要になります。
増築の際は新築と比較し、緩和規定の適用を含めた工期・コスト管理に時間を要しますので、早い段階で設計者へ相談頂くことが重要となります。
(具体的な緩和の内容については次回記事にしたいと思います)

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2011.05.06

新耐震基準と旧耐震基準の違い 木造は平成12年以前も注意!

既存建物の強度を、旧耐震基準、新耐震基準と表現する場合があります。
中古マンションなどを購入する際や所有建物の構造強度に不安があると相談を受ける際、両者の違いについてよく質問を受けますので、簡単にまとめてみました。

●強度の違い。簡単に表現すると・・・

旧耐震基準:地震(M5~7)を想定、震度5強程度の揺れでは倒壊しない。
新耐震基準:巨大地震(M8~)を想定、震度6強~7程度の揺れでも倒壊しない。
いずれも、倒壊はしませんが、継続して建物を利用するには補修が必要になるなど、一定の破損については発生する可能性があります。

●旧耐震基準と新耐震基準の見分け方

現在の建物の強度基準は、1981年(昭和56年)6月1日に施行されました。それ以降に着工した建物は新耐震基準の建物と言えます。あくまで着工日が重要であり、たとえば1981年12月に竣工した建物は、着工が6月1日以前の場合、旧耐震基準で設計されていることも考えられます。したがってこの日以降であっても1年以内など(建物の規模にもよりますが)改正時点に近い竣工の建物については、竣工図書や確認申請書を見るなどの確認が必要です。

●木造はホールダウン金物の設置が重要

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柱と基礎を結ぶホールドダウン金物

木造の場合は建設省告示1460号(平成12年5月31日)によって柱と基礎や梁などを緊結するホールドダウン金物の設置が義務付けられました。これは阪神淡路大震災で、木造住宅の柱が土台から引き抜けてしまって倒壊した事例が多く見られたことを教訓に発せられた告示です。この告示以前からホールドダウン金物は流通していましたが、義務付けされたのはこの年からです。木造の中古物件を購入する場合などは一つの目安になります。

●メンテナンスも重要

旧耐震の建物でも、形状や壁の量などによっては十分な強度を持っている場合もありますし、新耐震の建物でも、維持メンテネンスの状況によっては危険な建物もあります。所有する建物や購入しようと考えている建物について不安のある場合は、建築士に相談することをお勧めします。


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2010.04.29

長期優良住宅とフラット35S

現在進行中の練馬M邸では、
長期優良住宅の認定を受けます。
また、フラット35Sの適合認定も受けます。
長期優良住宅の認定を受ければ、フラット35の認定のみで、
フラット35Sの認定となります・・・・・

メリットは・・・・・
ローン残高による減税の限度額が増えます。
最初の10年間金利がマイナス1%となります(これが結構大きい)
保存・表示登記が半額程度になります。
などでしょうか?
ローンの額によってはかなりの費用圧縮が期待できます。
もう1つ、木のいえ促進事業の補助金が100万円もらえます。
(これは工務店に入るので、工事費から減額してもらいます)
(この補助金をもらうとエコポイントはもらえません)
これは相当大きいですが、いろいろ制約もあります。

デメリットは・・・・
とにかく、書類が多い・・・時間がかかる・・・・、費用も掛かる・・・・・
です。適合認定には、それぞれ費用が掛かりますし、準備する書類も膨大だし、
計画も多少制約があります。
たとえば、ユニットバスでないと長期優良は難しいのです。
今回は、クライアントが最初からユニットバスを所望していたので対応でしました。

もう少し、手続きが簡素にならないものかと思います。
全ての手続きが完了したらもう少し詳細にレポートします。

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2010.04.26

麹町K邸 マンションリフォーム竣工

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マンションのスケルトンリフォーム 麹町K邸が竣工しました。
キッチンとダイニング、リビングと小部屋に別れていた部分を一体空間にリフォームし、キッチン、家具、全てオーダーで製作しています。

竣工書類、取扱い説明など、今回施工を担当した、株式会社青が行い。
その後、おすし、ビールで竣工のお疲れ会をクラアントが準備してくださいました。
まだ、エコポイントの申請など残っていますが、明日から引越しです。

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2010.02.09

建築基準法に代わる新法の議論

馬淵澄夫国土交通副大臣が日経アーキテクチャーのインタビューでコメントしています。
その中で、設計・監理・施工の分離を訴えています。

私達設計専業の事務所(施工を請け負わない)は設計・監理を建築主の側で行い、施工を監理します。
ここでいう監理とは、建築基準法・建築士法で定められた工事監理であり、
施工者の工事内容が、設計図書通りであるかの確認作業が主です。

この監理が、設計・施工の場合(ハウスメーカーなど)建築主の利益を守るために行なわれているのか?が、建築業界の永遠の問題・課題です。

今回の馬渕副大臣の方針は、設計と施工の分離の部分は賛成ですが、設計と監理を分離することには、若干の違和感があります。工事中での、設計業務と監理業務が明確に区分できないと考えるからです。

国土交通省の告示15号では、工事監理期間中に行なわれることが合理的である設計業務をリストアップしていますが、実際の建築の現場では、明確な区分が難しく、設計と監理を分離することはまだ、難しいのではないでしょうか?もちろん、建物の規模や、用途によって、また発注者によっては可能な場合もありますが・・・・

話を戻して・・・・設計・施工の分離はもちろんそれが重要であると、訴えてきました。
しかし、現在の日本の建築を廻る社会システムとしては、大変難しい問題です。
それゆえに、政治のリーダーシップを期待します。

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2009.12.25

住宅版エコポント制度

管副総理が記者会見で言っていた住宅版エコポイント制度。
昨日付けで国土交通省が発表しました。(詳細は以下のリンク参照)

窓の省エネや、バリアフリー化など、
新築、改修に限らずポイントが付くようです。
具体的な内容はこれから検討されるようですが、
新築の場合は12月8日以降に着工したもの
改修の場合は来年1月1日以降に着工したものが対象とのこと。
実際には、国会審議の後制度化されるようなので、
今後の進展に注目していきたいと思います。

住宅版エコポイント制度の概要について(国土交通省)

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2009.11.19

小屋裏収納の解釈~練馬区

小屋裏収納は、一定の規模以下であれば延床面積、階数にカウントされません。
ではどのような場合がそれにあたるか、練馬区役所に相談に行きました。
基本的には、以下の図の範囲であればOKとのこと。
一般的な取扱でした。

Loft

現在計画中の物件では、登梁の片流屋根なので、軒桁のレベルが異なり、
図のように純粋に小屋裏空間での計画ではありませんが、
その場合でも、「ロフト」として扱い(図参照)問題ないとのことです。
ちなみに、固定階段の設置もOK、階段の規制は受けず、ロフトと合算で、
2階面積の1/2以下であれば問題ないとのことです。

取扱のペーパーが用意されており、親切な対応でした。

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2009.11.11

旧法規制の排煙免除区画の撤去~千代田区役所

マンションのフルリフォームにあたり、排煙区画変更の相談です。
昭和61年設計のため、建築基準法施行令126条の2の排煙区画は
100㎡の規制を受けていました。
そのため、専有部分に防火戸が設置してあります。
現行法では200㎡区画まで緩和されているので、撤去する予定です。
一応、千代田区役所に撤去の確認をし、問題なくOK。申請も不要とのことです。
将来のため撤去の経緯を記録しておきます。

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